Questions of Choice / 選択の難しさ

いかなる芸術の形式をみても、その中心には2つの大きな柱があります。質問(探究)したいという動きと、それに応えたいという動きです。応答はさらなる「問い」を生み出すこともあります。芸術的なプロセスの基礎としての客観的な顕示は、学術的な科目におけるそれよりも論理的に形式化されていないのかもしれません。しかし、どのような疑問を投げかけるのかというような建設的な課題を見いだしたいという姿勢や、評価や表現を引き起こすためのメソッドをつくりたいという意欲は、あらゆる学習という行為の根源にあるものではないでしょうか。

CAN Adults WS 004
私たちが生きているこの世界は、目紛しい早さで技術革新していますが、私たちがどのように情報を選び、活用していくのかという多くのジレンマを生んでいます。過去では考えられなかったような広範囲にわたる情報にアクセスし、どの秩序にそって選択し知識として取り込むのか「足早に」行っていく必要があります。我々が情報を消化しようが、ただおうむ返しのように反復しているだけだろうが、その情報の絶対量そのものよりも、おそらく選択そのものと情報に基づいてどのように採択するのかということのほうがより重要となるのでありましょう。

芸術に関わるということは、少なからずも選択することに繋がります。また、ぼんやりとした関係を現実的なものにしていくことや、新しい可能性に出逢うことでもあります。知識習得は過去に連接しつつも、一方で未来を見つめていくことで徐々に積み上げられていくことです。かのフランス哲学者、ジャック・デリダは「我々が読書する時は、故人の灰のなかに立っているのだ」と例えました。しかし、私たちは過去の経験を現在に当てはまるように再構成しなければなりません。また、それらを今日我々が生きている発達社会にとって不可欠な創造的な学習過程などを活性化させるための出発点として使う必要もあります。こういう意味でも、芸術は非常に重要な役割をもっていると言えるでしょう。

「我々は人間がもつ才能を育む重要性を、その才能が個々に異なった形で表現されることへの理解とともに、正しく味得していかなければならない。あらゆる人が創造性を豊かに抱くことができる環境を、我々が作っていく必要がある。」

(サー・ケン・ロビンソン著『The Element(邦題未確認)』2009年出版)


At the core of any Art form lie two principles; the impulse to question, and to respond. The response may generate even more questions. As a cornerstone of the artistic process the outer manifestation may seem less formalized than in other more academic subjects, but the willingness to create constructive challenges, to know what questions to ask, and to create a generative method of evaluation and articulation is what lies at the basis of all learning.

The fast-paced technological world in which we now live presents us with many dilemmas particularly in the way we select and apply information. We have access to a wider frame of reference than ever before, and need to be more ‘fleet of foot’ in the methods by which we select and take on knowledge. Choice, and the way in which we make informed choices is arguably more important than the quantity of data we can digest and regurgitate.

Involvement in the Arts is about making choices. It is also about making distant connections tangible, and seeing new possibilities. The acquisition of knowledge is accumulative, linked to the past but looking to the future. As the French philosopherJaques Derrida said “When we read we all stand in the ashes of those who have gone before”. But we need to re-configure past experiences in a format that is relevant for today, and use them as a launch pad to stimulate the sorts of creative learning processes essential to the evolving societies within which we live. In this the Arts are a significant player.

“We need to evolve a new appreciation of the importance of nurturing human talent along with an understanding of how talent expresses itself differently in every individual. We need to create environments where every person is inspired to grow creatively”

(Sir Ken Robinson. The Element. 2009)

About Michael Spencer

マイケル・スペンサー エデュケーター、ファシリテーター、ヴァイオリニスト。 元ロンドン交響楽団ヴァイオリン奏者、初代英国ロイヤル・オペラ・ハウス教育部長。現在、Sound Strategies最高経営責任者。スペインで唯一自主運営をしているバレス交響楽団(バルセロナ)にて、教育プログラムと経営方針の特別顧問を務める。世界各地で芸術教育プログラムを開発・実践し、さまざまな芸術団体や企業から高い評価を受ける。日本でも社団法人日本オーケストラ連盟主催・文化庁後援により、24のプロオーケストラと各地で教育プログラムを実施。2001年皇后陛下ご臨席のもと、紀尾井ホールにてワークショップ型コンサート開催。2008年には、教育ディレクターを務めた『ピーターと狼』がアカデミー賞(短編アニメ部門)を受賞した。2011年にTEDxWWF(世界自然保護基金)出演。 近年では、英国免疫学会の依頼を受け、科学者と芸術家、地域コミュニティーとの共生を目的とした芸術プログラムを英国各地にて制作・実践している。NHK-BS『旅のチカラ』でも活動内容が紹介された。 Japan Festival in London 2012 大会会長。上野学園大学音楽研究文化センター客員研究員。
This entry was posted in 未分類. Bookmark the permalink.

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>